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Discovery 信長の夢、まぼろしの安土城を追え。

安土城築城450年

信長はどうして安土を選んだ?

織田家の勢力図(1579年ごろ)

清洲城、小牧山城、岐阜城……織田信長は勢力を伸ばすたびに居城を変えてきましたが、安土城はその総決算ともいえる城であり、人生最後の城です。

安土城築城を決めた1576年、信長は畿内近国を支配下においたことで大きな権力を手にしていましたが、関東、四国や中国地方を抑えておらず、まだ天下を取るには至らず、そんな状況です。

岐阜城を居城としていれば、都はやはり遠い。天皇のお膝元で不測の事態が起きても、すぐには駆けつけられません。では都に城を築く? いいえ、そうしなかったのが信長らしいところです。信長は、安土という地に、天皇とも室町幕府とも違う、新しい都市、新しい権威を作りたかったのではないかと考えられています。

それには安土はぴったり。岐阜にも京都にもアクセスがよく、背後にびわ湖があるため、防衛と水運という点からとても便利だったのです。

安土城はどんなお城?

安土城は約198メートルの安土山に築かれました。城郭すべてが無くなったいま、限られた史料や、これまでの発掘成果から想像するよりありません。

当時の安土城を伝える大事な史料として、宣教師フロイスの『日本史』があります。そこには、フロイスの故郷であるポルトガルの建造物にひけをとらない豪壮で美しい建物であり、7重もある城と宮殿であったようです。瓦や柱などにふんだんに金や漆が使われ、室内は金色にかがやく豪華な障壁画が描かれていたそうです。

まだ干拓されていない時代なので、ふもとにはびわ湖が迫り、舟がたくさん往来し、見わたすかぎりの田野が広がっていたとか。まるでユートピアです。

信長は宣教師ヴァリニャーノに安土城を描いた屏風を贈り、グレゴリウス13世に献上されましたが、現在は行方不明。もし見つかったら超一級史料ですね。

屏風絵風安土城陶板壁画
安土城郭資料館所蔵 画:宇田妙子

たった10年で消えた理由

安土城はわずか10年で姿を消しました。天主にいたっては完成から3年で焼失しました。

焼失の理由は、本能寺の変による信長の死。明智光秀の謀叛によって信長が自害したという一報を受けると、安土城下はパニックになります。光秀は必ずここも襲う留守居を勤めていた蒲生賢秀は信長の妻子(濃姫?)を連れて、自らの城へと逃れます。本来はこのとき城に火を放つものなのに、そうしませんでした。三日後に入城した明智光秀も火をつけることはなく、居城にしています。

その光秀が山崎の合戦で光秀は豊臣秀吉に敗北すると、ついに安土城に火をかけられました。誰が火をかけたのか現在のところ、光秀の重臣・明智秀満が有力候補です。

実はこのとき炎上したのは天主と本丸など主郭部のみで、すぐに織田信孝や羽柴秀吉、さらには織田家の家督を継ぐとされた三法師が安土城に入城します。燃えてなお、「天下人の城」だったのです。

しかし豊臣家が天下をとるとついに廃城が決定。本能寺の変から3年経った1585年のことでした。

現在の安土城石碑
大手道跡

安土城年譜

  • 正月中旬に安土城の築城を開始

  • 安土城下に楽市楽座の掟書を発布

  • 天主完成。信長が移り住む。

  • 城内の摠見寺に徳川家康を迎え、能を観賞。
    本能寺の変。信長が自害。安土城の天主と本丸などが炎上。

  • 豊臣秀次の八幡山城築城にともなって廃城

安土城のヒミツ

日本初のライトアップは安土城?

宣教師ヴァリニャーノが帰国する際に、信長は粋な贈り物をします。それは「安土城ライトアップ」。城下町の家々の灯りはすべて消すように命じ、天主や城内の摠見寺をおびただしい提灯で照らし、さらに湖水に浮かぶ舟の上の人々に松明を持たせ、山上から水面までやわらかな灯りで照らしたといいます。どれほど幻想的な情景だったことでしょう。

信長は不信心? 石段に石仏

安土城跡から見つかる石段に、愛らしい人の姿をしたものがあって、すこしびっくりします。実はこれ、石仏です。これを見て「信長は不信心!」「さすが古い概念にとらわれない」なんて思う人もいると思いますが、戦国時代でこの「転用石」はよく見られることで、役割を終えた石仏や供養塔は「石材」ととらえていたようです。これには宣教師たちもびっくりしたとか。

「直線の大手道」の謎

お城の「大手道」といえば、登城用メインストリートでありながら、敵の侵入を難しくするためにあえて何度も曲がりくねらせるものです。ところが安土城の大手道は幅約6メートル、南北180メートルの直線!まるで都大路ですね。威容を見せつけるため、などの説がありましたが、天皇の安土行幸のために整備されたという説が有力です。この行幸計画も「本能寺の変」で実現しませんでした。

「幻の安土城」復元プロジェクト

滋賀県では、全国的な知名度を誇る安土城の実像を明らかにし、目に見える形で復元して世界に誇れる安土城の魅力を広く発信することを目的に、「幻の安土城」復元プロジェクトに取り組んでいます。また、2026年安土城築城450年記念に向けて、様々な取り組みが進められています。

【シアターで見てみよう】

八角形巨大シアターで見る!高精細フルCG再現の安土城復元

高詳細フルCGのイメージ

天主5階部分と同じ八角形のシアターで、最新の研究成果をもとに高精細フルCGで幻の安土城の姿を再現し、安土城築城の意義を信長自らが語るドラマ仕立ての映像コンテンツ(約15分)を上映しています。

場所
滋賀県立安土城考古博物館
(第1常設展示室 滋賀県近江八幡市安土町下豊浦6678)
問い合わせ先
滋賀県立安土城考古博物館
電話番号
0748-46-2424 
料金
大人/一般600円(特別展・企画展は別料金)
※高校生以下無料
時間
9時~17時(最終入館は16時30分まで)
休館日
月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は翌日)、12月28日~1月4日
アクセス
JR琵琶湖線「安土駅」より徒歩25分。レンタサイクル10分。タクシー6分。
公式サイトはこちら

VR(バーチャルリアリティ)で見る!

VRのイメージ

ショートムービー版:200インチスクリーンで安土城を描いた15分のショートムービーがご覧いただけます。
マニュアル版:コントローラーを使ってVR安土城の空間を自由に行き来することができます。信長や秀吉、また鷹の視点など、様々な視点を体感することができます。(イベント開催時)

場所
安土城天主信長の館
(安土文芸の郷  所在地 滋賀県近江八幡市安土町桑実寺800)
問い合わせ先
安土城天主 信長の館
電話番号
0748-46-6512
料金
一般610円、学生350円、小中学生170円
時間
9時~17時(最終入館は16時30分まで)
(VR安土城シアターの最終上映は16時20分)
休館日
月曜日(月曜日が祝日・休日の場合は翌日)、祝日の翌日(翌日が土日を除く)、12月28日~1月4日
アクセス
JR琵琶湖線「安土駅」より徒歩25分。レンタサイクル10分。タクシー6分。
公式サイトはこちら

現地でアプリを使って見てみよう

2025年にARアプリがリリースされました。その中身を少しだけご紹介します。

アプリ使用イメージ

ホーム画面のイメージ

安土城の16スポットでARによる復元CGが鑑賞可能です。

解説を聞くことができたり、発掘成果も見られます。
天主は複数の復元案が見られます
好きな武将とAR記念撮影も

その他、発掘調査実施中です。

安土城跡令和7年度の調査

アクセス Access

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